それは長期的なプロジェクトで、生まれたときは瓜2つの双子の脳が、その後いろんな経験を経るにつれてどう変わっていくかを調べるものである。
一卵性、二卵性あわせて数百組の双子を調べるこの研究は現在も続いているが、成長しつつある。
脳の具体的な発達をはっきり関係づけることはむずかしい。
「経験がかかわっていることはわかっている。
だが経験のどの部分が関係していて、脳のためには何が最善なのかまだわかっていない」ただ親としてじかに子どもと接してきたNには、自分なりの考えがあるという。
「たとえばこんなふうに考えてみるといい。
子どもに話をするとき、面と向かってお説教するのと、車の後部座席に座っているときにそれとなく語りかけるのと、どちらが効果的かというようなものだ」Gの研究では、小脳が思春期を通じて変化していることもわかった。
「社会的な交流をつつがなくこなしたり、それとなく発信される合図を察知したり、ジョークを理解したりといったことは、ティーンエイジャーが達成すべき課題であり、そのすべてに小脳が駆りだされる、しかも小脳は、脳のなかで成熟するのがいちばん後になる、思春期から20代前半に入るまで、小脳は大きく育ち、発達を続けている。
これは驚きだ」もちろんこれだけでは、発達中の脳が受ける影響を解明するにはほど遠い。
Gは語る。
「われわれにできるのは、末端をいじくりまわすことだけかもしれない。
脳はほとんどが遺伝的にプログラミングされていて、いわばチューンナップを終えたFだ、遺伝子工学のようなSF的な手段しか役に立たないということもありうる。
しかし逆に、脳をよくする方法が見つかるかもしれない。
あくまで推測だが、それはおそらく、われわれがすでに知っているものじゃないかと思う。
早い段階での発達がとても大事で、それにはよい親が必要だということは、みんな知っている。
そういうことだ」「1日4時間勉強をさせても、よい脳は作れないということになるかも」とGは続ける。
これまでの研究で得た知識から、彼は4人の子どもにあれこれ指示するのではなく、自由時間に何をするか自分たちで決めさせているという。
「さらに言うなら、脳は遊びたがっているという結論が出るかもしれない。
遊んだ脳ほどよく育つということになったら、いったいどうする?」ティーンエイジの脳を対象にしたGのある論文には、最後にひとつの疑問が記されている。
思春期の脳の成長に過剰生産がかかわっている、つまり神経細胞の樹状突起やシナプスがものすごい勢いで増え、それから大々的な刈りこみが行なわれているとしたら、思春期は「環境や本人の活動が、脳の発育パターンを左右する」決定的な時期ではないか。
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